ソケットはなぜ合わない

暗黒の迷宮へようこそ葉

2004.08.07


はじめに

 装具士さんを敵に回すような内容だ。けれど7年経っても満足いくソケットを作ってもらっていない僕の気持ちも分かって欲しい。

 お世話になった装具士さんは、今の人で3人目。掛かった交通費?円。作ったソケット数?ケ。その作ったソケットのうち、実際に使えるソケットは、本義足第1号の1個と今作成中の 仮ソケットだけ。

 「満足いくソケットとは?」・・・けっして贅沢を言っている訳ではないつもり。一時は500m歩くのもあぶら汗だったのである。一方で、ディズニーランドを1日中歩いても平気な人がいるのである。それは理想というならば、せめて連続1kmぐらいは平気で歩きたい。

 しかし、これまでソケット製作の方法を学んできて感じるのは、ピッタリ来るソケットを作るなんて、まさに奇跡。熟練を要すのも無理はない。

 その理由を下記に示す。

採型のタイミング

 下記のように、断端の寸法を測ったり、石膏で型を取ったりする訳だが、そのタイミングが問題。

 入院中は良いが、退院後に、製作所に通う場合、朝義足を付けて、製作所に行くまでの間に、断端はソケットの中で収縮してしまう 。そんな時に測ったら、小さめの義足ができてしまうのは明白。「それを加味するから大丈夫」・・・すでにこの時点で職人のカンに頼ってしまう。

採寸方法(断端の太さをメジャーで測る)

基準が難しい:

 大腿骨に沿って直線を引き、ある点から基準点を3箇所ぐらい作って測るのだけど、毎回同じところに線が引けているようにはとても 思えない。

3回測ろう:

 正確に測るためには装具業界でなくても、基本としては、3回測って、その平均を取るものではないか。ある装具士さんがちなみに3回測ってみたら3回の幅が1cm以上あった。

メジャーの精度も悪い:

 お裁縫用?のメジャーテープを使って断端を測るのだが、偶然その場にあった2本のメジャーを比べたら、ずいぶん差があったと記憶す る。どっちかが伸びてたのか?!

そもそも無駄?!?!:

 とある装具士さんは、採寸なんてしないそうです。「きっちりと測れる訳ないでしょ。石膏で型を取るから採寸は不要。」・・・だそう です。 すごく納得。

石膏型取り

 石膏で型を取るのに、どうして太すぎる、小さすぎるなんてことが起きるのか?!それはね。ソケットというのは、断端と全く同じ形に作れば良いと言うものではなく、筋肉の収縮などを計算して、四角にしたり、卵形にしたりするからなのです。

 型どりの時、気づいたら断端に力が入っていたりすることがある。力を入れると収縮するのでは?それぐらいは誤差範囲なのでしょうか。

 型取り中に、坐骨の位置を装具士さんが指を使って決めるのだが、どうも不安。「あの、もうちょっと上なんですけど・・・」。

 石膏は収縮する。石膏で作った型は、実際よりも小さくなっているらしい。だから、その石膏から、ソケット製作用の型を作るとき はやや大きめに作らねばならない。 ”やや”大き目・・・。ここにも職人の感が求められる。

私自身の問題

 性格がやさしいもので、売り掛けで大変そうだから、完成もしてないのに、とりあえず完成にしてあげて、労災保険から費用支払い処理をしてあげた。

これは良くなかった。満足行くまで、がんばるべきであった。

「完成するまでお金は払いませんからね!」 

ただ、それが2年、3年と及ぶと気分がめいるのである。

その他

 以上、ちょっと嫌みな書き方でごめんなさい。

 これからは、もっと厳しく取り組もうと思いますが、職場の上司、同僚の目もありますし、そう簡単に休みをとるわけにもいかず、サラリーマンの多くがそうですよね。 何度も通えません。

 技術の進歩で、こんなに個人が頑張らなくても、当たり前のようにピッタリ来るソケットを作ってもらいたいです。
 南北朝鮮統一の日とどちらが早いか。

追記:そもそも合わないと何が起こるか

断端が痛い:

 小さすぎると、入らないのだが、無理して装着すると、圧迫痛が発生。全体を締め付けられるような痛さが発生する。

次にそこそこ大きさが合っていたとしても、ちょっとどこかが「当たる」、こんな現象が起こる。最初はちょっと気になる程度だが、そのうち痛みに変わり、そして、すぐに傷が出来る。健常な人で言えば、足の裏にマメができたような感じ。流血&あぶら汗

腰が・背中が痛い:

 義足利用者でなくても、上記のような現象は容易に想像出来るだろう。しかし、それだけではない。
 上記のような状況で無理して歩いていると、腰や背中に変な力が加わるのか、そのうち痛くなる。とにかくつらい。
 上記のようなソケットの問題だけでなく、義足全体の長さが合ってなかったりするだけでも、腰と背中に来る。

 ソケットに空気漏れが発生していても、同様の現象が起きる。

 朝、会社に到着した時は問題なかったはずなのに、座って仕事をしているうちにソケットが少しずつ抜けて行き、「ずれ」てしまうことによって、ソケットを浅く装着した状態になってしまうのか、腰が痛くなる。

 東京に出張する時も困る。電車で長時間座っている間にじわじわとソケットが抜けてしまい到着する頃にはずれている。だから、駅から都内の目的地まで歩いている間がつらい。

 手間を惜しんでソケットを装着しなおさないと、1日中そのまま歩き、帰宅すると腰や背中がもう大変。

書いてみるとこの程度か・・・もっといろいろあると思ったが。 傷が出来るだけでも、もう十分

イッテ〜!


▲ 上に戻る

研究室メニューに戻る

ホームページに戻る

(C) Copyright じゃみーの大腿義足情報 2008 All rights reserved. Since 2003/1/31