大腿用アイスロス情報 

☆初めての方は、ちょっと下の「2008年作成」からお読みください。

2011年8月追記
第5号義足が完成し、アイスロスも新調したところ、思わぬ事態発生。
左の写真のように長めにアイスロスをカットして織り込んで使おうとしたら内股のところで肉が挟まり痛くて歩けない。さらにMASソケット特有の座骨を受ける尖ったところですぐに穴が空きそうになった。
とにかく痛くて歩けなかったので、結果的には右の写真のようにソケットの形に添ってカットしてしまった。
本来、左右どちらの使い方を推奨しているのか聞いて回ったところ、「好み」という結論。
確かに、以前のソケットで使い始めた時は、左の方法でなんら問題なく使えた。むしろ右のようにカットしまうことは非常に勇気がいる。
左の使い方の問題点は、比較的早いうちに、ソケットの形に沿って破れてくることである。
右の使い方の難しいところは、慎重にカットする必要があること。アイスロスを付けてソケットを装着して、しばらく歩いてしっかりと断端をソケットの奥に入れ込んだことを確認してカットする線を決めないと失敗する!
※慎重に行うとなると、義肢製作所ではそんな時間は割けないと考えて、ある程度のところまで切ってしまおうと思ったら、・・限界に達していた。危うく切りすぎるところだった。


ちなみに、1年以上使い続けたアイスロスX5の写真も以下に添付。みためボロボロだが、まだ使える。むしろ、断端の形に変形しているため、フィット感グッド!しかし、せっかく新しいX5を用意したので変えてみた。ちなみに黒い線は、MASソケットの形状に沿ってマーカーで線を書いてみたもの。(おしり側から撮影)


2010年6月追記
ピンの無い吸着式の改良型が、2010年度に認可された。
俗称: アイスロスX5(エックスファイブ)
正式: ICEROSS(アイスロス) トランスフェモラル
     シールインX5 ( I−TF673 )
従来型に比べて5本の帯で吸着を維持するため、エア漏れが全然無い。従来型はエア漏れがひどかった。
さらに、素材の強度も改良され、従来は半年で交換となっていたが、その倍の1年以上もつようである。
イヨイヨ完成度が高まったと言うところ。




2008年作成
概要

正確な年代は分からないが、2005年ぐらいから大腿切断者にも普及し始めたアイスロスについての情報共有をしてみたい。
アイスロスの登場は画期的。ソケット内の断端に出来る傷から解放されるなんて、大袈裟に書けば夢のよう。
装着時の布が不要となるなど、毎朝の装着や日中のつけ直しも簡単。
ぴったりくるソケットを入手することはかなり難しい現状がある中で、皮膚への負担を軽減しくれるこのシステムはすばらしい。
但し、それなりの短所もあり、また、メーカーの説明書には書かれてないこともある。

以下は、あくまで、2008年時点で個人が知り得た情報。

呼び名
大腿用アイスロス (製造メーカーはオズール社)
国内販売店の一つのパシフィックサプライさんのページによると
フルネームは 「大腿用アイスロス シールイン・ライナー」 
義肢装具士さんは 「シリコンライナー」とも呼んでいる。

アイスロスにも大きく分けて2種類あり、先にピンがついたものと、ピンが無いものがあり、「シールイン・ライナー」とは後者のピンが無い方を指す。

予備知識
夢人島さんのサイトのアイスロス(オズー社)で基礎知識。
製品としては、パシフィックサプライさんのページにGO。
本家オズール社のホームページに日本語入りの取説あり(pdf)。47頁をご覧あれ。


アイスロスってどんなもの?
具体的に装着方法を見てもらいながら、長短所を以下に述べるとしよう

チェックソケット(ソケットの仮合わせに製作するもの)を試すときに、写真撮影してみました。
義肢装具士さんが断端の周計に合わせて注文。
まずは長めにカットし、調整後します。
ほつれ?防止のために、カットしたところに沿って3cmぐらいの幅でセメダインのような液体を塗ってくれます。
そうやって用意してもらったアイスロス・シールインがこれ。

※写真の時点ではまだセメンダインのような液体はまだ塗ってない状態です。
このようにまくります。

※写真では途中で止めてますが、完全にひっくり返します。
空気をいれないように装着します。

*完全に空気を入れないなんて難しい。適当に装着してもそれほど気にならない。
*人によっては、この装着に非常に苦労する場合もあるよう。
アイスロス装着完了の絵。

ソケットに断端を押し込む。

ソケットの内側に、何らかの潤滑剤を付けて断端を押し込む。僕の場合、ソケットが小さめなので、立ちあがって体重を掛けて押し込みます。

※「日本の代理店は、薬局で売っているエタノールスプレーを推奨している」との 情報を得ました。
※オズール社のマニュアルだと、ベビーパウダーまたはアルコールスプレーとあります。
※僕は、装具士さんからワセリンみたいな油を使ってと言われたので、ベビーオイルを使ってました。とりあえず、エタールでも、オイルでも不都合無し。
茶色のゴムの部分で真空を保つため。その周辺の大きさが重要です。
これで取りつけ終了となります。

★★★★★★★
このソケットの内径は小さすぎます。
下の方に、書きますが、ソケットが小さすぎると、写真のように茶色のゴムが折れてしまいエア漏れの原因となります。
ですので、ぎゅーぎゅー押し込まないと入らないようなソケットのサイズは小さすぎると言えます。
 

使い始め間もない頃のポイント

@アイスロスの内側を良く洗おう
納品時には、かぶれの原因となるものが付着しているようなので、中性洗剤でよく洗ってから装着を開始してくださいと言われています。最初は、3回ぐらい洗ってから長時間装着を試みましょう。

Aそれでもかぶれるので、皮膚科に行こう
比較的多くの人が、最初はかぶれて痒くなるようです。かぶれない人もいます。
湿疹が現れたら、すぐに専門医、つまり皮膚科に行って適切な薬をもらいましょう。その方が早く治ります。但し、毎日装着しているので、人によっては、湿疹が消えるまで、しばらく時間がかかります。

薬品についての情報
(ニーナさんより) 自分がであったワセリンは、大洋〇薬340円。成分は白色ワセリン(化粧用油)。店頭にうず高く積まれていた。安価で儲けもないだろうが、皮膚の弱い女性の間で、隠れたヒット商品だそうです。
(まりあさんより) 赤い発疹にはステロイド 枯れて来ている部分にはワセリンでよい。

B2ヶ月ぐらいでアイスロスが柔らかくなる
このコメントは、分かりにくいので、さらっと流してください。
最初から十分に柔らかいアイスロスですが、しばらく使っているとより柔らかくなるというか、へたってくるというか、そんなことが起きます。
最初はエア漏れがひどかったのに、ある時から急に漏れが減ってきたのは、アイスロスが馴染んだせいかもしれないと装具士さんが言ってました。

Cあまり汗をかかない人へ(僕の場合)
これに気づくのに1年かかりました。
断端の皮膚表面が汗をかきにくい人は、アイスロスを装着する前に、断端に何かクリームを塗りましょう。
汗をかかないと、アイスロスの中で皮膚が「つれて」しまい水ぶくれができてしまいました。
そりゃもうひどいのなんのって、湿疹とは違うので、激痛です。
クリームを塗る訳は、汗をかいた状態を作り出すだけなので、水でも良いかもしれません。
僕の場合、断端が全体的にカサカサになったので、ニベアを使用。

長所短所と寄せられた体験談



あらためて考える長所と短所

長所
  1. 痛み・傷からの解放。
    普及型の軟式、硬式プラスチックを用いた吸着式ソケットに比べて、恥骨などにあたって発生する傷が出来にくい。 これはうれしい。
    でも、いくらアイスロスでもソケットの形があまりにも適合してない場合は痛い。傷も出来る。
  2. 装着時に引き抜き布が不要。
    布を使った従来式の装着方法は、とっても力がいる場合があるし、失敗してやり直すこともしばしば。そんな作業から解放される。布を持ち歩く必要も無い。
    ベビーパウダーも不要。
    その代わりに、エタノールスプレーなどが必要。安くない。
  3. 簡単に洗える!
    取り外したら、すぐに洗面所で石けんで洗えます。マニュアルによると、乾かす時は、元に戻して、つまり白いゴムの方を内側にしてくださいと有ります。


短所
  1. 皮膚との相性の問題
    • 人によるが、慣れるまで皮膚がかぶれる。その試練を乗り越えなくてはいけない。
      すぐさま皮膚科に行って適切なかゆみ止め等の薬を処方してもらう。
    • 汗をかきにくい人は、皮膚がよれ、つれてしまい、その状態を1日続けることによって、水ぶくれが発生する。←僕のケース。
      これは装着時にクリームを塗って汗をかいた状態を作り出すことによって解消できることがわかった。こんな簡単なことになかなか気づず、一時はアイスロスを断念していた。
  2. エア漏れの問題
    • 普及型と同様とも言えるが、アイスロスとソケットの寸法がきちんと合わないとエア漏れが発生する。
      下の写真でよく分かる。当時はそんなこと知らなかった。 外側のソケットが大きすぎて漏れることは容易に想像できると思うが、小さすぎてシール部分(ゴムの部分)が折れてしまいバイパスが出来てエア漏れが起きるなんて予測できず。
      チェックソケットでよく確認!!
    • このエア漏れ問題、自転車には致命的。僕の場合、5分ももたない。アイスロスでは自転車に乗れなくなってしまった。四辺形でも漏れるけど比較にならない(自分のソケット比較)。
      ガニ股作戦が良いらしい(ダッピーさん)。
その他
  1. 装着するに当たっての注意点
    • アイスロス(シールイン)純正バルブはうるさい。
      純正バルブの必要性が良く分からない。
      エアが入るとボタンを押さなくてもプシュッとエアが出てくる一方通行の機構がある。しかし、しょっちゅうエアが漏れる状態だと、歩く度にプシュプシュ言うので、周りに迷惑、かっこわるくて歩けない。
      従来式のように、抜きたい時だけ、ボタンを押すタイプがいいなー。
    • 装着に力が必要な場合あり。
      高齢の方などには自分では付けられないケースがあるよう。
    • そんなに長く持つものではない。
      毎日お使いの場合1年ぐらいで交換
    • 汗かきさんは中に汗がたまる。
      外を歩くお仕事の方など、1日に何回か汗を捨てる!?ぐらいに汗がたまるらしい。
      生理用品やティッシュを中に入れるそうです。。
    • 激しく動くと水平方向に回る
      そもそも低、中活動者向きだから仕方がない。激しいスポーツなどには向かない。


使用者の体験談

[06/09/26 追加]

大腿義足にもアイスロスを使用するケースが増えたようで情報が増えました。
かぶれ、水泡の問題について、情報を整理します。

下腿切断では、大変普及しているアイスロス。
装着直後は、ほとんどの人がかぶれます。皮膚科で薬をもらいながら、かぶれとつき合いながら皮膚が安定するまで待たないと行けない。それがどれくらいの期間かは人次第。でも1週間というレベルではない。耐えるしかない。

大腿義足でもアイスロスを使うケースが増えている。
僕を含めて4例しかない事例からまとめると、

かぶれなかった人  1名
 乗り越えて使えた人 2名
 根性無し      1名

乗り越えなくてはいけない試練が待っているようです。こんなことメーカーも言って
ないし、説明書にも書いてません。

断端のぷよぷよ部分が多い人はアイスロスは使えないと言われた人がいましたが、そ
れは間違いでした。使えています。


以下掲示板に投稿いただいた生の声:
 

■ 「たけぼん」さんのケース
2006/09/12(Tue) 2:50

アイスロスで先端にピンがついたモデル装着してます。

水ぶくれってどんなのなんだろう・・・。
自分は1度もそんなのできないまま今日に至ります。
皮膚が頑丈なんかしら。シリコンに強い体なのかしら。

でも最初の数ヶ月はかゆみに悩まされました。
特にアイスロスのふちがかゆくて。でもほったらかしてたらいつの間にか治ってました。

自分の場合は密着度もへったくれもないです。
最近は断端のさきっちょがきついのでティッシュ大量につめこんで履いたりとか・・
・ かなり荒業なことばっかりしてます。
自分のアイスロスはピン式なので脱げる心配がなくてとりあえず安心です。


■ 「おかん」さんのケース
2006/09/11(Mon) 23:12

みんな、あの悩みを体験してきたみたいですね。
でも、体質は、個人差があるし、断端の形も一人一人違うので、誰もが同じ状態をクリアできるとはかぎらないですよね。

>水ぶくれができてはつぶれ・・を繰り返しています

私の場合、仮のソケットの段階で、即、水泡でしたが、本義足になってからは、アイスロスの密着度が増したことによって、かなり改善されましたよ。
水泡が出来る場所は、アイスロスが動いて擦れる、上部だけだったので、そこが、しっかり密着していれば、かなり改善されるみたいです。
それと、義足を外したら、すぐに、アイスロスと、断端を、石鹸で洗うことを守っています。

出来てしまった水泡は、自然に破れるので、それ以上悪化しないよう、病院で診てもらって消毒や薬のアドバイスをもらうしかないですよね。
私の場合は、切断前に皮膚移植を広範囲にしていたため、ケロイド状になった部分が、水泡になっても、神経が鈍くて、あまり痛さを感じないんですよ。
いいのか?悪いのか? 痛くないのは、ましかな。(^皿^;)

アイスロスのお陰で、ソケットの傷はなくなりつつあります。それが、今一番嬉しい〜〜〜♪
お互い、何とか、水泡から解放されて快適な義足生活したいですね。


 

■ 「農林一号」さんのケース
2006/10/25(Wed) 22:51

教えてもらったURLに記載されているように皆さんアイスロス(小生が入院していた病院ではシリコンと言っていた)によってカブレ、カユミ、イタミを経験されているようですね。

小生の場合は、術中にアイスロスと「仮仮義足」装着というのは以前言いましたが、

・ 手術後数日はアイスロスを外さずに過ごしました。その間痛くて痛くてアイスロスなど気になりませんでした。

・ 数日後、傷口洗浄とかでそのアイスロスを断端から取り外したのでした。その時、断端は一面水ぶくれが出来ていて、自分の脚がこんな姿になってしまっている−切断されているショックと水ぶくれによる醜さのショック−ことで卒倒しそうでした。が、その直後よりその水ぶくれのカユミが尋常でなく、いつもアイスロスの上から割り箸で掻いていました。

・ 医師の説明ですと、その水ぶくれは自然と治る、ということで、最初は半信半疑でしたが、1ヶ月ほどで本当に治ってしまいました(大半は潰れて水みたいなものが出て、その下に新しい皮膚が出来て治まる、って感じです)

・ そうは言っても時には大変痒くなることがあります。アイスロスを外した時、皮膚が空気に触れると一気に痒くなるような気がします。

・ 大きな水ぶくれはなくなりましたが、今でも極小なものは時々出来ます。が、それが痒くて困るということはないです。それより、汗と共にそのようなところからうっすら血の色をした浸出液みたいなものが出てくることがあります。それが気味悪いです。


 







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